記憶…

2/2
前へ
/28ページ
次へ
  少し驚いて固まるさくらに、 「ここにいて…」 と、少し甘えた声で大和がさくらに強請る。  他の女の子に対していつもしている甘えた声を、さくらに向けてきた事に、さくらは胸が少し苦しくなった。  火照る顔を見られたくなくて、うつむくさくらに、 「…可愛い。ギュってしたい…」 そう言って、優しく抱き寄せる大和に、さくらは声も出ず、ただ固まっていた。  さくらを抱き締めながら、頭を優しく撫でる大和。  しばらくして、 「…しよっか」 と、優しく甘い声をかけてきた大和をさくらは拒めなかった。  さくらは、経験がなかった。  さくらは、思わず、 「大和なら…初めてが大和なら…」 そう思ってしまっていた。  そして、 「大和が覚えていませんように…」  さくらはそう願いながら、大和に体を委ねていた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加