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動揺
『うそ…。どうしよう…』
妊娠検査薬の赤い線を見つめながら、さくらは困惑していた。
定期的に来る生理が来なかった。
まさかと思って調べたら、…そうだった。
『どうしよう…。生活は…?仕事は…?』
不安ばかりが押し寄せる。
『…バレちゃだめだ』
さくらの頭の中には、その言葉が強く浮かんだ。
『お祖母ちゃんの所に行こう…』
さくらは、少し震える手でお祖母ちゃんに電話をかけた。
「おや、さくらかね。元気かい?久しぶりだね」
嬉しそうなお祖母ちゃんの声を聞いて、さくらは涙が溢れた。
「お祖母ちゃん…、お祖母ちゃん…、私ね…………」
涙で声が詰まる。
さくらのその不安そうな声に、お祖母ちゃんは黙って次の言葉を待ってくれていた。
しばらくして、
「お祖母ちゃん…、私、そっちで住んでもいい…?」
そう、勇気を出してさくらが伝えると、
「もちろんさ!いつ来るかね?すぐに準備しておくから、いつでも帰っておいで」
優しく答えてくれたお祖母ちゃんに、さくらは涙が止まらなくなった。
泣きながら電話を切ったさくらは、そのまましばらく泣いていた。
『これからは、泣いてちゃダメだ。ママになるんだから。ちゃんとしなきゃ。ちゃんと頑張らなきゃ。だから、今日だけ…』
お腹に手を当てながら、そう泣きながら誓っていた。
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