寂れた商店街

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寂れた商店街

目を開ければ、商店街にいた。裁縫道具やさんから、ふとん屋さん。クリーニング屋さんに、駄菓子屋。 『必ず前に突き進み続けて』その言葉を信じ、たまに曲がり角のある商店街を、ひたすらまっすぐ、まっすぐ、まっすぐすすむ。 いくらかあるいていれば、それっぽい所に着いた。 そこは、銀杏の木陰にできた店。よかった、中には人もいるようだ…。 中からは、甘い湯気の匂いと紅茶の香りが漂ってくる。 犬の飾りが掛けられているドアの前に立って、とりあえず、声をかける。 「えっと、すみませーん、?」 中から、『はーい、』という声が聞こえて、ドアが開いた。 「あの、バイトの面接に来ました、犬夢褒です、、」 「こっちへどうぞ」 髪を後ろで一つくくりにした、明るそうな女の人が案内してくれた。 「私の名前は、菜萌 絵都。えどってよんでね」 店の仲間で案内してくれた人は、さも えどという名前らしい。 奥には、眼鏡をかけて本を静かに読んでいる女の人が一人。 「私は、七柿 柴犬。しばぬ、て呼んでね」 そのあと、カウンターで作業している人。 「おーい、紫辺。自己紹介してやれ〜」 しべと呼ばれたその女の人は、作業に集中していて、私達に気づいてなかったようだ。 「あ、すみません…。私は、紫辺美秋 葉好です、はす、とよんでください。よろしくお願いします。」 この人は、誰にも敬語が外せなさそうな、人。 「はーいじゃあみんな注目ー!」 絵都が無理やりソファーに私を立たせる。 「え、ちょっ、絵都、さん?」 絵都はソファーの肘置きに立って、私を強調するようなポーズをとる。 「今から、ここで自己紹介をして!はい、して!ね、して!!」 と、急に言われた私は、ちょっと戸惑いながらも自己紹介を、。 「えっと、犬夢 褒です、。好きな呼び方でよんでください、ね、…。」 終わった途端に、絵都は「そうそう!」などという声を浴びせた。 「はぁ。絵都さん。新しい人だからテンションが上がるのはわかりますが、無理やり自己紹介をさせたりするのは、やめてください。戸惑っていますし、ソファーが壊れるし、。」 葉好さんは、落ち着いて絵都に説教する。 「仲いいん、ですね」 こっそり私はつぶやいた、つもり、だった。 「もうっ、仲いいだなんてプイッ」 二人とも同時にそう言って、横を向いた。 (変なこと、言っちゃった) そんなこんなで始まった、迷えるサモエド案内所でのバイト。 これからどんな困難が待ち受けているのか!? どんなことが待ち受けているのか!? ではさようなら
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