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「なにしてんだか。ばかみたい・・」
そう呟きながら、大木の幹に座り込んで見上げた月が満月だった。飲もうとした薬も結局ほとんど飲み込めなかったけれど、この先はない自分の為に、考えることなんてあるはずもなく。
ーただ、このままここで猫のように静かに逝くー
「・・ねぇ」
!!!
なに、いまの? 幻聴? んっ?
そういえば、そこの草むらが揺れてない?
虫が歩いても聞こえるような中で、突然の物音は想像を絶するほど怖い。いま血圧を測ったら器械が壊れるだろうザワザワと沸く不安感と心臓の鼓動まで身に響く。
なに、なにかいる、なにかいる? そんな、まさか!!
「大丈夫?」
月を背に黒い影がヌーッと現れた。
「ギャーーーーーッ!!!」
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