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その人はクスクス笑ってた。
「そんなに大声が出せるなら大丈夫だね」
「男の人が襲ってきたと思って」
「まさか、あり得ない。僕には出来過ぎの奥さんと可愛い子供がふたりもいてね、そんな家族に尊敬される人間になりたいと毎日思ってるんだ」
「幸せなんですね・・」
彼はこの森の自然環境を守るためのボランティア活動をしているかたわら、自殺者を未然に防ぐため、有志で協力しあって年に何度かキャンプを張っているのだそうだ。
「ここで人に会うなんて、もしかしたらって探していたんだ」
彼はまわりに散らかしている荷物を、不思議そうな顔で触っていたけれど、
「本当はうちに帰りたいんじゃないの?」と言った。
予想外の出来事に疲れたのと、多少飲んでしまった薬が効いてきたのか眠くて仕方がなかった。
あぁ、だめだ。もう起きていられないー・・・。
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