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2話
屋敷に着くと、馬車が停まった。
扉が開けられて、御者が降りるのを助けてくれる。リベールは石畳の上に降り立つと、カツカツと靴を鳴らしながら屋敷に入った。出迎える人は誰もいない。それもそのはず、リベールは1人で王都にあるタウンハウスに滞在していた。両親や兄弟達は皆、領地にいる。使用人も執事と御者、メイドが5人いるくらいだ。
最低限の人数で切り盛りしている。リベールの要望ではあったが。
エントランスホールにて、リベール付きのメイドのシーラとスティが出迎える。2人共に年齢は20歳だ。
「「お帰りなさいませ、お嬢様」」
「ただいま、シーラ、スティ」
笑顔でリベールは返事をする。シーラが先に出て、スティが後に続く。3人でリベールの部屋に向かう。
部屋に入ると、早速リベールは学園の制服を脱いだ。結っていた髪も解き、手早くシーラが用意したワンピースに袖を通す。髪は緩めに束ねた。
「今日もお疲れ様でした」
「ええ、今日も。エアロ様はジンジャー子爵令嬢と一緒にいたわ」
「そうでしたか、ジントニック様にも困ったものですね」
スティがそう言いながら、手早く紅茶を淹れる準備をする。やっと、少しは息が抜けるとリベールは胸を撫で下ろした。早く、婚約解消をしたいが。それまでの我慢だと自身に言い聞かせないと、やっていられない。
「どうぞ」
「ありがとう」
スティが紅茶の入ったカップをリベールの前に置く。
手に取り、まずは香りを吸い込む。芳醇な良い香りが鼻腔に入る。ゆっくりと口をつけて、飲み込んだ。ちなみに、ストレートでお砂糖やミルクは入っていない。リベールはミルクティーはそれ程、好まないのだ。普段は、ストレートかお砂糖を入れて飲んでいる。スティはそれを知っているから、大体ストレートで出す事が多い。
「……お嬢様、紅茶を召し上がったら。少し休まれますか?」
「そうね、スティが言うようにするわ」
リベールは頷く。紅茶をまた、一口飲んだのだった。
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