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4話
リベールはタウンハウスに帰って来てから、手紙を書いた。
メイドのシーラに託して、家令に渡すように言う。内容は簡潔にした。「大事な話があるので来てほしい」と認(したた)める。
「お嬢様、もしや。婚約破棄でもなさるつもりですか?」
「まあ、そのつもりよ」
「はあ、噂には聞いていましたが。やはり、ジントニック様は浮気をなさっていたんですね」
リベールは苦笑いしながら、頷いた。シーラやスティは何とも言えない表情だ。
リベールはさてと頭を切り替えたのだった。
翌日に、両親がタウンハウスにやって来た。
リベールにとっては二年振りの再会になる。普段から両親は領地にいて、リベールの妹のルーラの側にばかりいた。ルーラは生まれつき体が弱い。特に、心臓の病気を持っているがために定期的な医師の診察が必須だった。
リベールは幼い頃から、冷遇されていた。体が健康だからといって彼女が傷つかないはずがない。けれど、両親は見て見ぬ振りを決め込んでいた。
まあ、代わりに祖父母が色々と気に掛けてくれていたが。父方の祖父母はリベールを心配してタウンハウスに来たり、必要な物があれば、買い与えてくれたりと親切ではあった。母方の祖父は亡くなっているが、祖母も何かと手紙をくれたり誕生日プレゼントなど贈ってくれている。リベールにとってはそれが救いであった。
また、親戚の人々も同様ではある。リベールはエアロと婚約を解消したら、母方の祖母に頼んで修道院にでも入ろうかと決めていた。
考え込んでいたら、シーラとスティが部屋に入って来た。
「お嬢様、旦那様と奥様がいらしています」
「もう、そんな時刻だったのね。行きます」
「はい」
リベールは立ち上がるとシーラ達と一緒に応接室へと向かった。深呼吸をしたのだった。
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