3-02 判然としないボク

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 本当は否定したかった。みんなのためなんかじゃあなくて、私が怪異に()()を持ったのだと、ミナコはミズキに言ってやりたかった。そうしたら、目の前の姉は一体どんな反応を示すのだろう、と。  しかし、そういうことにしておくしかなかった。  ミナコの真意を伝えることは、シュウに止められている。ミズキがシュウの言う通りに取り乱すであろうことは、火を見るよりも明らかだった。すぐに知られることとはいえ、今伝えてミナコ一人でなだめるというのは、どうにも難しい話だ。  お姉ちゃんは、ボクが善良な人間だって信じているんだ  苦労続きな身の上で、世を(はかな)んで閉じこもり、誰かが助けてあげなければなんにもできない、カワイソウなミナコちゃん。  ミズキが自分をそう見ていることを、ミナコは感じ取っていた。  いくらかは、ミナコ自身の偏った認識ではあったろう。それでも、自分はこのまま一生”妹”をやらなければいけないのか、という憂鬱とした気持ちがあった。  仕方ないよ。この人は ……「シュウちゃん」を「シュウ先輩」にすれば、自分は大人になれるんだって、そう思い込んでいる人なんだもの  ミナコは全ての言葉を呑み込んだ。  どうせ何を言おうとも、最後は「あなたは妹なんですから」という情緒で済まされてしまう ―― そういった諦め。
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