3-03 異質 同質

2/8
前へ
/76ページ
次へ
 それは、ミナコの予測通りであった。  シュウ姉なら昨日の今日で突っ込んで来るだろうな、という予測。彼女の気性を多少なりとも理解しているからこそ、部屋から引っ張り出されるよりは待ち構えている方が楽だと、ミナコはそう判断したのだ。  だから、何を言うのかも、ミナコはある程度考えていた。 「昨日も言ったよ、シュウ姉。あの黒い怪異は寂しかったの。帰る場所を求めていたの。それがわかったから、私が話しに行ってあげた」 「知能があったっていうの?」 「私がそう思ったの」 「感傷だわ!」  シュウは激しく言い放った。  (こし)ミナコは、シュウ()のことが決して嫌ではない。  隣ではらはらしているミズキ()()()()()のように、その時の気分で優しくなったりきつくなったりしない。カンナ姉は一見激しく映って、しかし、こういう時ならば「まあまあ」となだめに入るだろう。  良くも悪くも一貫しているな。というのが、ミナコの評価である。  一方で、ミコ()()のことも嫌ではなかった。  彼女がミナコへ関わってこようとしないのは、いくらかは関わり方のわからなさだろう。しかし、ミナコが彼女の瞳を覗いた時、自分を「こういうもの」と見ているな、と印象した。  可哀想とか何とかしてあげたいといったものではなく、こういうもの、という見方。  それはミナコにとって、中途半端な優しさを振りかざすよりも、余程慰めとなり得ただろう。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加