3-03 異質 同質

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「なら …… シュウ姉は本当に気付いていないの?怪異、少なくとも昨日のやつと、私たちの能力が同質っていうことに」  そんな、と悲鳴を上げかけたミズキを手で制して、シュウが先を促す。 「この伏田城(ふたしろ)に怪異が発生して、ここに私たちが集まっている。そして、私たちの能力は怪異を倒せる。そのことには関係がない?」  私はあれを取り込めたんだよ、というミナコの言い分に、シュウは意外にも穏やかに応じた。  優しい、という意味ではない。表面上穏やかなだけである。 「ミナコ。まさか、私たちの存在が運命だとか宿命だとか、しゃらくさいことを言おうってんじゃあないでしょうね」 「違うよ、もっと大枠の話。人間とネコちゃんとは別物でしょう?けど、もっと大きな含みで見た時、ヒトとネコとは同じ哺乳類。そういう意味で、同じってこと」  わかる?というその瞳の問いかけに、シュウは大きく息をついた。 「そうね。大枠っていう考え方はしてみなかったわ。ミナコの言う通りかもしれない」  シュウたちの能力と、怪異の持つ異形の力と ―― 全く同じものではないにしても、ある程度近しいもの同士として、一つの(くく)りとか分類の内に含まれる。そういう考え方。 「ミナコ。力の中にも、分類や系統があるかもしれないって?」  それは、火と水といった外見的な異なりのことではない。  火という一つに見える力の中にも、様々に細かい分類があり得るだろう、ということ。能力とは外見の違いで単純に分類できるものではなく、もっと複雑な性質の異なりによって、入り組んだ系統樹を描いているのかもしれない。  その”能力系統樹”の内において、シュウたちの能力と異形の力とは、比較的近縁に位置する存在である ―― それが、シュウとミナコの言っていることだ。
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