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3-01 みんなの子
越ミナコが目を覚ますと、遠くから話し声がした。
薄明るいカーテンの向こう。また近所の人たちが来ているのだろう、と、ミナコは思う。
隣にあった、義姉・ミズキの寝床はとっくに片付けられて、畳の空間だけがぽっかりと空いている。
もう少し眠ろう
ミナコは布団に潜り込んだ。時刻はもうすぐ正午を回る。
伏田白神社は、あまり大規模な神社ではない。
しかし、高山に囲まれひっそりとある街、という伏田城市の特殊性が、その街の神社をパワースポットに仕立て上げてしまった。歴史とか戦国武将とか、そういった興味でこの地を訪れる人々も少なくない。
何よりも、地域との結びつきが強い。大混雑ということはないものの、神社から人の絶えたことがほとんどないのも現実であった。
眠れないままにのっそりと起き上がり、しかしミナコは、学校のことはなるべく考えないようにした。
考えると、頭が重くなってくる。そのうちに動悸が激しくなって、腹から下腹部へと重く張ってくる。それでも行こうと試みると、痛切な腹痛に襲われるのだ。
やっぱりボクじゃあ駄目なんだ ……
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