3-01 みんなの子

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「ミナコ、こっちおいで」  武己(たけみ)カンナはそう言いつつも、両手を広げて自分の方から近付いてきた。ぎゅっと抱き寄せて、なでなでと可愛がるのである。  その姿は、つい数年前まで不良グループの一員としてならしていた人間とは、とても思えない。  ふう、とカンナはため息をついた。 「お姉さんはね、ミナコちゃんのために通っているようなものだよ」 「カンナ、年下のミズキちゃんだっているのよ?」  と、茶化すように言ったのは苫己(とまき)シュウ。 「先輩!こんな人になでくり回されたくありませんわ」 「ミズキちゃんはなぁ、もっとおしとやかにしていればね」  なんですって!という三坂(みやさか)ミズキの絶叫も、もはやお馴染みといっていいだろう。 「ハロー。ミナコちゃん、おみやげよ」  その時々に、様々な店の菓子を持っては裏庭へと現れる瀬戸家(せとや)スイ。ミナコが出てくるときには、彼女のやってくる頻度が高くなるように思われた。 「こんにちは。ああ、ミナコちゃん」  一言だけ、声を投げかけてくる大堀(おおほり)ミコ。直接話しかけることはほとんどないが、ミナコを中心として過ごしている仲間たちを、柔らかく見守っているような表情にも見えた。 「ミナコは可愛くていい子だものなぁ」 「武己(たけみ)先輩!いい加減、猫か何かじゃあありませんのよ!」
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