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3-02 判然としないボク
後に”ミナコ家出事件”と呼ばれることになる出来事の翌日。
越ミナコは、自宅から社務所を抜けて、皆が集まる裏庭の部屋へと一人出てきた。
この部屋は、ミズキが父から借り受けたものである。
ミズキたち幼馴染三人に能力があるとわかってから、彼らは秘密の集まりを欲するようになっていった。伏田白神社が選ばれたのは、まず建物の広さ。それから神社という、不自然なく人の集まれる公共性。怪異が現れるようになってからは、その場所の重要性がますます増しただろう。
その建物の、一番奥まった部屋。使わせてほしいとミズキが申し出た時に「神社が忙しい時は、あの部屋だって使うんだよ」と父が言えば、それ以外には使っていいということであった。
もうひと月近く、ミナコはこの部屋へ現れなかった。
日に日に朝の冷え込みは増す。
ミナコは板敷きの廊下に、裸足であったことを悔いた。そこに気付かなかったのは、彼女がその朝というひと時を、毎日布団の中で過ごしていたからだ。
お湯を沸かすのは …… お昼過ぎてからでいいよね
ミナコは簡単に部屋の掃除をし、縁側の陽だまりへごろんと横になる。けだるそうに、本を開いて閉じて、を繰り返した。
「今日はみんな来るんだろうな ……」
昨日自分が何をしたか、その自覚は彼女とてあったのだ。
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