3-02 判然としないボク

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 昨日。小さな(やしろ)の境内で、ミナコが黒い怪異を吸い取った後のこと。  シュウがミズキへ電話をかけていると、ミコとスイがいくらか遅れてやってきた。  二人とも、ミナコの姿を認めて安堵する。黒い怪異のことも済んだ、とカンナから聞き、驚いた顔も見せていた。 「ミコ!カエデにもう済んだって連絡しておいて」  ミナコはその名前を知らなかったが、自分が家を出たことは思った以上に多くの人を関わらせる結果となったのだ、ということは理解した。  まさか、こんなにも人を巻き込んだ大事になるとは、ミナコ自身思っていなかっただろう。軽くことを済ませて帰るつもりだったのだから。  それから、シュウはミナコを見下ろして言う。 「あなた、本当にミナコよね」  怪異を吸い取ったのか、それとも吸い取られてしまったのか。当然の疑問ではあった。  ミナコとしては、正真正銘本物の(こし)ミナコだ。しかし、一人の人間の感じ方を、外から見ただけでわかるということはない。それに、わざわざ偽物だと自己紹介する偽物もいないだろう。  シュウはミナコの手をぐっと引き上げて、しばらくじっと見つめてから、どう納得したものかわからないが「まあ、本物でしょうね」と言った。
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