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「シュウ姉。こんな大事になるなんて思わなかった」
「そうだよシュウ。ミナコだって迷惑になるなんて思って出てきたわけじゃあないんだし」
「そんなの当然でしょうカンナ?迷惑だとわかった上で迷惑されちゃあ、こっちはたまったものじゃないわよ!」
シュウはミナコの腕をつかんだままで、あくまで詰問を続ける。
「ミナコ。どうして怪異の居場所がわかったの」
そうきたんだ
ミナコは内心驚き、しかし、シュウ姉らしいとも思った。
なぜ外出したのか、といった常套句から始めるのが、こういう時のお決まりであろう。それを、怪異を探し出したことから入ってきた。であるならば、ミナコが黒い怪異を目的にしてきたということを、シュウはすでに理解している。
まどろっこしいのは嫌だろうな、と、ミナコは思った。
「あれはね、力はあるけれど、安心できる場所を求めていた。山のように暗くって、近くに神社のような雰囲気があるところ。神社って、大抵木が植わって林になっているでしょう?だからそういう場所だと先に決めて、実際に近くまで来たら反応があった」
「あなたと同じって言った。それが理由?昨日からわかっていたの?」
「あの子は取り込めたよ?この能力と関係しているの。そう感じた」
「もっと詳しくおっしゃい」
「それは ……」
そこで、ミナコの言葉が詰まってしまった。しばらく考え、言う。
「シュウ姉、少し待ってよ。まだなんて言えるか、よくわからない」
「勢いでここまで来たっていうの!?」
そう叫んだシュウではあるが、まもなく「じゃあ今日はいいわ」と、割にあっさりミナコの腕を離した。
良くも悪くも思いきりがいいのだ。
「怪異を取り込んだこと、ひとまずミズキには黙っておきなさい。あの子に言っても場が騒がしくなるっきりだわ。みんなもそうお願いね!」
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