僕を砕く

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「だからふざけてんだろ、アンタ!」  香坂が机を叩いて婦貴子に言い寄る。婦貴子は頬杖をついて本を読みながら、くすくす笑って首を横に振る。「全然」 「至っていつの瞬間も、真面目よ」 「なんで俺がてめぇに反吐が出るようなこと散々してんのに、てめぇは平気でヘラヘラ笑ってんだよ!!」  アンタ、が、てめぇ、に変わった。しかし、婦貴子は目も合わせず笑っている。「反吐が出る?」 「まったくだけど。どうしてそうなるの?」 「ふざけんなよ……てめぇが居るだけでハラワタ煮えくり返りそうなんだよ」 「可愛い人」 「聞いてんのか!? あのな、俺は」  先々週てめぇに会った後、てめぇ弟の女奪って、先週てめぇの目の前で、自分から呼び出したくせに別の女とべたついて、昨日は。 「昨日は、てめぇの恋人を裏から手を回して病院送りにした! 散々やってもてめぇは笑ってるだけだ、何がしたいんだよ、何が目的なんだよ!? 最初の復讐とか昼ドラとかチープな青春劇みてぇな発言してたあの真意は一体何が目的だったんだ俺は今未だかつてないほどてめぇにイラついてんだよ!!」
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