僕を砕く

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 ため息をつき、頬杖をついて続けて問いかける。「その仇餓鬼に、なんの目的がある」。少し婦貴子は黙った。とんとん拍子で会話が進まないことは珍しいので、なんだ。と顔をあげると、婦貴子は相変わらず笑っていたが。 「復讐」 「……は?」 「だった」 「……え?」  あ、今の返事すごく可愛いわよ! 厭そうに婦貴子を見つめていたが、相手をするだけ無駄だと考え問いかける。「復讐って」 「なんだよそれ」 「わたしね、わたし。ほら、転校前の学校で弟が、去年あなたに交流会のあと、文字通り潰されてるの。だから近づいて痛い目遭わせてやろうと思ってたのよ。そしたら」 「……」  婦貴子は手をひらつかせ、おばさまが言うように・もう参っちゃうわよと、こう言う。 「あなた。仇餓鬼が、あまりに可愛くてねえ。  それに、最高の復讐は、その復讐する人間自身が幸せになることだとも、貴方をみて。  なぜか気づいたの。」  うちの弟に言ってやったの。あんな餓鬼に潰されたあんたが悪い、って。弟怒ってた。と、笑う彼女の言葉に、香坂は眉をひそめて彼女を見つめていたが、本に視線を戻して黙り込む。
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