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「あの人たちはいいのか?」
話しかけられていただろうと視線を女性たちに向けると、手を掴まれてグイっと引き寄せられてバランスを崩し前のめりに倒れてしまう。
「お前なー」
ルーカスが転ばないように助けてくれたが、俺がバランスを崩す要因も目の前のこいつにあるので礼など絶対に言わない。
「知らない人に話しかけられて怖かった」
ギュッとルーカスが俺に抱きつく。
(人見知りなところは昔から変わらないなぁ)
「遊びに行きましょうとかご飯を一緒に食べませんかっていうお誘いだろ? 何が怖いんだよ」
なだめるようにポンポンと背中を二回叩く。
「知らない人に話かけられることが嫌だ」
(その容姿でそれは無理だろ。これからもっとモテるようになるのは目に見えてるのに中身がこれじゃ……)
可愛かった俺の幼馴染みは、十二歳になった。小さい頃はルーカスは母親似なんだろうなと思っていたのに、最近ではその面影もなくなって可愛いではなくカッコイイと言われることが増えてとにかくモテている。
俺たちが住んでいるところは田舎なので、外部から移住してくる人はほとんどいない。いたとしても少しだけ住んだら次の村へと移住してしまって定住はしないわけありの人ばかりらしい。
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