1.俺の可愛い幼馴染み

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「俺は父様と母様とずっと一緒にいたい!」 (それは家族に対する感情で結婚とは別なんだけど……。説明するのが難しいなぁ。この子は知らない子だし二度と会うこともないだろうからここは厨二病設定で押し通すか)  そう結論づけた俺は、前世の記憶を頼りに厨二病っぽい言葉で伝えることにした。 「絶対的な権力者。プロポーズの言葉は『この世界を君に』だと即オッケーしちゃうな」 「それってどんな人? どういう意味?」 「世界征服できちゃうような人から『世界を君にあげるから結婚してほしい』ってプロポーズされたいってこと」 「世界は五大陸に分かれてて行き来するだけでも大変なのに、世界征服なんてできるわけないじゃん」  子供が物凄く残念な奴を見る目でこちらを見つめる。 (さすが貴族の息子。ちゃんと世界の常識を知ってて偉いじゃないか。よし、ここは更にゴリ押しだな)  世界の常識は俺も父さんに教えられているのでもちろん知っている。まぁ俺はこの村と隣村くらいまでしか行ったことない田舎者なんだけどさ。 「ドラゴンに乗って新婚旅行とかできる人がいいな」  魔法がある世界なんだからドラゴンだっているはずだと、前世に映画館で見た剣と魔法の世界を思い浮かべる。 「はぁ!? ドラゴン!? 一匹倒すのに一万人で討伐できるかどうかの化け物を人間が使役できるわけないじゃん。夢見すぎ。そんなんじゃ絶対結婚できないよ?」 (ふふふ、うまくいった。作戦通りだ)  話を上手くそらせたような気がする。
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