1.俺の可愛い幼馴染み

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ははっと笑って話題を変えようとするのに俺が家族とルーの中でどんどん痛い奴になっている気がする。 「そうか……愛か……そうだよな……うん……」  父さんも母さんも俺の言葉に何故か納得したように頷いている。そんな両親と俺の様子を見ながらルーカスがニコニコと笑う。 「じゃあエルの結婚相手になれるのは一人だけってことだね」  貴族や王族以外は一夫多妻じゃないので平民の俺が結婚するなら相手は複数じゃなくて一人だけだ。ルーカスが言っていることは正しいのになぜだか違うと答えたくなってしまうのはどうしてだろうか。 「まあ……その……なんというか……うん」  何を言ったらいいのかわからずに言葉を濁す俺に母さんが笑顔を向けて言う。 「エルが結婚ね~。どんな子を連れてきてくれるのかしらね」  母さんはまだ恋人すらもいない俺の未来の嫁を想像して目を輝かせている。結婚しない人生もあるんだからまだ子供の俺に過度な期待はしないでほしい。  父さんは父さんで『お父さんって呼ばれるのか』と何だか嬉しそうにしている。だからいもしない人物を勝手に想像して二人で楽しむのはやめてほしい。 「エルは世界征服するゴリラみたいな嫁が欲しいの?」 「え?」 「世界征服して世界をくれてドラゴンを使役するムッキムキでゴリラみたいな屈強なお嫁さんが欲しいんだろ?」  ルーカスが俺の厨二病設定を拾い上げて想像した俺の未来の嫁は、ムッキムキで弾丸も筋肉で弾いてしまえるくらい屈強なゴリラだったようだ。 「それは……」  屈強でゴリラな嫁が欲しいわけではない。そもそも俺は華奢で守ってあげたくなるような人が好きだ。
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