1.俺の可愛い幼馴染み

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「エル、どうしたの?」  俺の反応が変だと思ったのか母さんが不思議そうに声をかけてくる。 「あ……いや……えっと……その……」  何を言っても藪蛇になりそうでうまく言葉が出てこない。  そんな俺を見てルーカスがニッコリと笑う。 「エルはゴリラよりも俺の方が好きだよね?」 「え?」 「……エルは俺よりゴリラの方が好きなの?」  ルーカスの目がウルウルしだして今にも涙が零れ落ちそうになる。 「ちょっ……、そんなわけないだろ。ルーの方が好きだよ」 「それって一番好きってこと?」  ここで一番でないないなんて答えたら大号泣されるのは目に見えている。そしてなんだかんだ言って一番好きだと答えたらそれはそれで大号泣される気がする。なら答えなど一つしかない。俺はルーカスの目を見つめて言う。 「ルー、好きに順番なんてつけちゃダメだ。俺は父さん母さんもマリーさんもルーも大好きなんだから。一番に選ばれなかった人は悲しむだろう? 俺はそんなことしたくないんだ」  どんなに愛してくれてたって父さんの一番は母さんで、母さんの一番は父さんだということを見せつけられながら成長してきた俺は、誰かの一番に自分がなれるとは思っていないし誰かを自分の一番にしたいという欲求がない。  俺にとってはみんなが一番で、仲良くできるならそれでいい。そんなことを考えていた俺はルーカスが「エルがそう思うなら今はそれでいいよ」と小さく呟いたことなんて気づかずにいたのだった。
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