2.俺の幼馴染みが騎士団所属になりました

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「えっ、もしかしてルーの奴、父さんにいつ行くか言ってなかったの?」 「近々とは聞いていた」 「マジかよ。もしかしてマリーさんも知らないなんてこと……」 「母親が子供のことを知らないわけがないだろう? 未成年が騎士団に入る手続きには親の承諾が必要だからな」 「知ってるのに見送りしなかったってこと?」 「ルーカスも大人ぶりたい年頃なんじゃないか?」 「大人ぶりたい年頃……。確かに俺が見送った時も『隣村に買い物行ってくる』みたいな随分あっさりした挨拶と態度だったな」 「途中で乗り合い馬車に乗ってもこの村から王都までは十日はかかる。すぐに帰って来られる距離ではないな」 (だから父さんは騎士団長を辞めて王都から遠いこの村で母さんと住むことにしたんだろ? 今考えても騎士団長と隣国の姫様の駆け落ちって凄いよなぁ。しかも政略結婚させられそうだったからさらったって行動力も我が親ながら凄い。俺もその行動力を見習って世界中を旅してみたいな) 「ルーが『やっぱり行きたくない』って駄々こねると思ってた」 「ルーカスには目標があるからな。それはないだろ」 「ルーの目標?」  幼馴染みで仲のいい俺ですら聞いたことがないルーカスの目標を父さんは知っているらしい。 「カッコよくて憧れる騎士になりたいんだどさ」 「ルー、めちゃめちゃ頑張ってたもんな」 「誰にも負けたくないんだとさ。成人するまでに絶対俺に勝って願いごと一つ叶えてもらうって張り切ってたぞ」 「ルーが父さんに願い事? 何をお願いされたの?」 「それは俺に勝つまで言わないってさ。無茶は言わないから叶えて欲しいって」 「ルーらしいな」 「ところでエルはルーカスのことを俺に知らせにきたのか?」
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