1.俺の可愛い幼馴染み

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「あのお姉さんたちと一緒に行ったら好きなご飯奢ってくれるぞ?」  視線をルーカスからそっとまだこちらの様子をうかがっている女性陣に向ける。 「俺はエルの家でエルが作ったご飯がいい」  顔を両手で挟まれて首ごとルーカスの方に向けられて、強制的に目の前にルーカスがいる態勢になる。 「うちじゃ出てこない分厚い肉が食べられてもか?」  首が痛いので頬を挟んでいる手の上から手を重ねて、ルーカスの手をどかす。 「肉じゃなくてエルが作る野菜炒めが食べたい」 (俺だったら絶対肉が食べたいんだけどな。それにルーカスだって肉が入った料理を出したら目をキラキラさせて食べてるから肉は嫌いじゃないと思うんだけど)  うーん。と考えているうちにルーカスに腕を引っ張られて気がつけば自宅に着いていた。 「明日は稽古で一日いないから」 「そっか。頑張れよ」  家の家事を手伝いながらルーカスは訓練所に通っている。今日のように休みの日の翌日は一日訓練がある仕組みらしい。 「頑張ったら褒めてくれ」 「今でもルーカスは十分頑張ってると思うけど?」 「全然だめだ。クリスさんからまだ一本すら取れてない」 「俺の父さんは元騎士団長だぞ? 数年稽古しただけでルーカスが一本取ったら立場がないって。ってかいつのまに父さんと試合したんだよ。俺全然知らないんだけど」
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