第1話 私は伯爵家のお荷物

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 ◇  ウィリス王国の王都貴族、ゼクレス伯爵家。  国内での立場は、中堅貴族といったところだろうか。ただし、この国では王都貴族よりも辺境貴族のほうが権力を持っていることが多い。そのため、そこまで威張れるような立場じゃない。  そして、王都貴族と辺境貴族はあまり仲が良くない。王都貴族は辺境貴族を見下し、辺境貴族は王都貴族を「ぬるま湯につかった輩」と嘲笑っている……というのは、家庭教師の教え。  ……うん、まぁ、多分。それはあながち間違いではないのだろうけれど。  私とソフィアの両親、ゼクレス伯爵夫妻は典型的な王都貴族。辺境貴族を「蛮族」と見下し、日々お仲間の貴族の人たちと辺境貴族の悪口を連発している。正直、それは危ういものだと思う。だって今の王太子殿下、辺境貴族の方と懇意にされているというお噂だしね。  そんなゼクレス伯爵家に十八年前に生まれたのが、私シャルロット・ゼクレスと双子の妹ソフィア・ゼクレス。  幼少期は割と平等に愛情を注がれていたと思う。少しソフィアに偏っていたかもだけど、ソフィアは甘え上手だから仕方がないと思ってきた。  それに、ソフィアは私になついてくれた。いつだって「お姉さま」と言って後を追ってきて。双子だけど、親友のような存在で。  今後もずっと、この関係が続くものだと思っていた。……あの日、鑑定士が来るまでは。
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