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門と神の正体
大人しく聞いてはいたものの半分も理解できなかった武公は、話が一段落したと思ってようやく声を上げた。
「俺には難しい事はさっぱりわからんが、とにかく何としてもこの神様と門を守れということだよな。それで、その門というのはここにあるんだろう」
右から左に頭をすり抜けていくような小難しい話に、武公の頭の許容量は既にパンクしている。
理論を飛ばして起きる現象だけを見る武公と、原理を知って納得したい優とでは基本的に考え方が全く異なるのだ。
「俺も見たい! 自分が何を守るのか見てみたい」
虎太郎が賛同すると、椿や忍も頷いた。
話には聞いていても、確認してみたいという思いはここにいる一同が抱いている。
彼らが何のために自分達の未来をかけるのか、せめて見ておきたいのだ。
「主らには勧めぬな。あれは漏れる瘴気が濃いから、人の身に障る」
こちらの世界の生き物がいかに弱いか、閂は知っている。
閉じた門から漏れる瘴気だけで身体・精神共に損傷する。
しかもここにはまだ幼い虎太郎と忍、見るからに虚弱な椿が居るのだから閂としては留め置きたい。
「ここに居ても特におかしな事はないが……」
武公の感覚ではこの建物の奥から重苦しい気配のようなものは感じている。
しかし言われるほど危険なものという実感は見当たらなかった。
「目一杯の護法と結界を駆使して守ってんだ。それがなかったら俺達は地下に降りるどころか、この神社の敷地にすら入れねえ。禍ツ神や荒魂なんかはこの僅かに漏れる瘴気だけで活性化して、神社に寄って来るんだ。どれだけ危ないか少しは考えろ。古いもんだが写真ならある。それで我慢しとけ」
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