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「奈月ちゃんと優さんは平気なのか?」
「身玉の能力じゃ。防御に優れた身玉には、門の向こうの力に対しある程度の耐性がある。龍也や橘、千代はそもそも護法で身を守っていたしな」
武公が言われて彼らを見れば、目を逸らし影響を受けぬように何らかの対策を講じているようだ。
龍也は護法を唱えながら写真を元の通りに箱に収め、札を貼る。
「あ、だから……なんでそんなに様子がおかしいんだろうと思って……」
奈月が眉を顰めると、閂は興味深げに彼らを見ている。
「奈月と優はすぐに手を繋いだようじゃな。気付いたのは優か」
「はい。最初僕は少し影響を受けましたが、これが瘴気というものなら身玉の力で防げると思ったので」
優は悪寒を覚えて反射的に隣に座る奈月の手を取った。
奈月が平気そうなことに気付いたのもあるが、駄目ならば祝詞をあげて自分の庇護下に彼女を置こうとした部分もある。
彼にとって最優先すべきは奈月の安全であり、次が彼女を守ることの出来る、自分の身の安全だ。
閂はどこまで優の考えを見通したのか、ふっと笑った。
「番うとはそういう事。龍也が言ったであろう、二は繋がりだと。心身ともに繋がることで生まれる力」
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