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そこではっと気付いたのは椿だ。
「あ、祝詞の時に手を重ねるのも……」
「そう、繋がるためじゃ。一は始まり、二は繋がり、三で安定。そしてまた一が生まれる。円環じゃな」
一同はその言葉の意味に思いを馳せる。
一が個人、二で繋がるという意味、そして三で安定して新たな一が生まれるとすれば……
「それってつまり……」
その意味を思って奈月が尋ねると、閂は当然のように頷いた。
「番うとは、本来その意味よ。それを簡易に表すために手を重ねる」
1人が繋がって夫婦になり、新たな生命を生む。
椿は武公とのそれを思って恥ずかしげに頬を染めた。
奈月は当然のようにそれを受け止めるが、そこに無神経な武公の独白が聞こえる。
「つまり……どういう意味だ?」
武公にとって「番」とは役割であって夫婦になるという意味から乖離しているのだから、ピンと来ないのもやむを得ないのだが、奈月はほぼ脊髄反射で彼の首をチョークスリーパーで締め上げた。
「アホなの? バカなの?」
「う……察しが悪くてすまんが、首を締めるのはやめ……て……くれない……か……」
ぐぅと妙な声が聞こえると、さすがに奈月も締め上げる腕を少し緩めた。
生かさず殺さず、素晴らしい力加減に筋肉で武装した武公も赤くなったり青くなったり忙しい。
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