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「まあとにかくだな、名前似てるだろ? 更に皇、つまり天照大御神の子孫であるとされた皇家の威光をお借りして、メジャーな神様天児屋根命が集めた信仰心を一部横流ししてもらってる」
「そんな言ったもん勝ちみたいなので良いのか?」
武公が呆れると、閂がケトケトと笑う。
「そもそも自分達で神様仕立てようという不届き者の集まりじゃぞ? 横取りでも何でもござれじゃ」
龍也は肩をすくめておどけたように天を仰ぐと、ため息をひとつ落とした。
「言葉遊びみたいなもんが意味を持つのがこの国の文化だ。4は死に通じるとか、結婚式の切れる別れるが良くないとか、縁起を担ぐのにも言葉が関係してくる。ましてや天児屋根命は言霊の神様だ。それこそ言ったもん勝ちってやつだな」
言霊は口に出すだけ真実に近付く。
だからこそ忌み言葉を避ける文化が存在するのだ。
ならば後々生み出された神が、名を借りる事で先に生まれた神の威光を借りることも然り。
名は体を表すという通り、その名を呼ばれれば呼ばれるほど真物に近付くというわけだ。
「お役目の三家もそうだ。剣、身玉、影見で連想できるモン、あんだろ?」
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