神の威光と言霊と

2/7
前へ
/572ページ
次へ
「まあとにかくだな、名前似てるだろ? 更に(すめらぎ)、つまり天照大御神の子孫であるとされた皇家の威光をお借りして、メジャーな神様天児屋根命(アメノコヤネノミコト)が集めた信仰心を一部横流ししてもらってる」 「そんな言ったもん勝ちみたいなので良いのか?」 武公が呆れると、閂がケトケトと笑う。 「そもそも自分達で神様仕立てようという不届き者の集まりじゃぞ? 横取りでも何でもござれじゃ」 龍也は肩をすくめておどけたように天を仰ぐと、ため息をひとつ落とした。 「言葉遊びみたいなもんが意味を持つのがこの国の文化だ。4は死に通じるとか、結婚式の切れる別れるが良くないとか、縁起を担ぐのにも言葉が関係してくる。ましてや天児屋根命(アメノコヤネノミコト)は言霊の神様だ。それこそ言ったもん勝ちってやつだな」 言霊は口に出すだけ真実に近付く。 だからこそ忌み言葉を避ける文化が存在するのだ。 ならば後々生み出された神が、名を借りる事で先に生まれた神の威光を借りることも然り。 名は体を表すという通り、その名を呼ばれれば呼ばれるほど真物に近付くというわけだ。 「お役目の三家もそうだ。剣、身玉、影見で連想できるモン、あんだろ?」
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加