その参拾九

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その参拾九

だいぶ前のこと 落ち着いたお洒落なカフェのカウンターで、紅茶とケーキを楽しんでいた。 すると、隣に女性が座った。 (空いてる席あるのになー。) 1人だから、カウンターなんだろうか。 まぁ、いいか。と紅茶を飲む。 女性が話しかけてきた。 「私、金星人なんです。」 「……へー。」 見た目は日本人女性である。 変わった所といえば、その発言なんだろうか。 「それは、また遠い所からわざわざ地球へようこそ。」 いまだかつて宇宙人いや、金星人にコンタクトを取ったことがない身としては、この返しで良かったのか不安である。 「あなたは、どの星から来たんですか?」 紅茶を吹き出しそうになった。 金星人の目から見たら、私も宇宙人になるのだろうか。 「地球産です。」 「これは、失礼」 そう言って金星人は席を立って別のテーブルに移動した。 紅茶を飲み干して、すぐにカフェを出たが、あの時ノリで「猫星からです。」と答えていたらどうなったんだろうか。 あの人は本当に金星人だったんだろうか。 謎のままである。
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