その参拾三

1/1

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ

その参拾三

仕事柄、心霊写真を持ち込まれることが多い。 今はもっぱらスマホで撮ったものが多い。 Aさんから 「こないだ旅行に行ったんです。そこで撮れたものがこれで」 と、とある観光地の城の展示物を撮ったものだった。 展示物の後ろに男の人が立っている。 ガラスケースに映りこんだのではない。 なげならは、その男性は皇帝のような姿をしていた。 展示物も皇帝が被る冠である。 「たまたま持ち主が映りこんだものでしょう。害はないかと。」 と、鑑定した。 それから数ヶ月してBさんから 「こないだ旅行に行ってきてね。はい、お土産のちんすこう。でね、この写真なんだけど。」 と、観光地の城の展示物の写真を見せられた。 展示物の冠の背後に男性が立っている。 皇帝の姿をした…。 同じような鑑定結果を述べた。 写真の構図こそは違えども、同じだったな。 有名な観光地だからこんなこともあるのだろうか。 それから一年後 Cさんが 「こないだ旅行に行きまして、でこの写真を見て欲しいんですが。」 それはとある観光地の冠の展示物の写真だった。 Cさんはいろんなアングルで撮っていたが、一枚、冠を正面から撮った写真に皇帝のような男性が立っていた。 「こんな格好をした人もマネキンもいませんでしたし、これ、なんでしょう?」 まさか三人の方から同じ男性の写真の心霊写真を見るとは…… とある心霊写真系のコミュで同じ場所の写真があがっていた。 とある観光地の冠の展示物の前に…。 そこは心霊写真が撮れると有名なスポットであったことを知った。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加