その参拾九

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その参拾九

友人数人とお茶をしていた。 「ねぇ、なに連れてるの、ソレ。」 私はMさんの腰を指指した。 「あ、やっぱり?一週間前から腰が重たいし、痛かったんだよね。」 祓ってよ。 そう言われたので祝詞を唱えた。 「うわっ」 横に座っていたhさんが、驚いた声を出した。 「猫ちゃんが祝詞を唱えた瞬間、Mちゃんの体から真っ黒い煙みたいのが出て、窓から出てった。」 「逃げられたかな。」 「え?その辺にいるの?」 「いや、外に出てったから、まあ、大丈夫。」 このMさん。 かなり霊に好かれやすい体質のようで、会えば必ずといっていい程、何かを憑れている。 また別の日。 「今日は10体かぁ、どこに行ったのよ?」 「えー、どこかなぁ。不気味な所には行ってないんだけどなぁ。どうりで肩が痛いし、何もない所で躓くんだよねぇ。」 頻繁な事なので、普通の肩こりなのか霊障による肩こりなのか分からなくなったとMさんは笑って言った。
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