その肆拾

1/1
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ

その肆拾

私は、レイキヒーリングのグループ二つに所属している。 その一つでの出来事。 ヒーリングの勉強および、練習である。 二人一組になり、ヒーリングをしあうのである。 その日はtさんが、「カタカムナウタヒ」のコピーとクスリ絵を持って来ていて、クスリ絵を痛い部分に貼りカタカムナウタヒを唱えるというもの。 tさんが手本に歌ってくれた。 吟いに似ている調子だ。 「へー。これ、一番古いウタならば祝詞調で唱えたらどうなんだろう。」 祝詞にも読み方のコツというものがある。 それをカタカムナウタヒに当ててみようと思ったのだ。 「いいね、それ。」 本日の私の相手はMさんである。 さて、カタカムナウタヒをある程度頭に入れている時。 長机の方から、カサカサ音が聞こえる。 ビニール袋の荷物が崩れるような音だ。 隣でヒーリングをしているOさんが 「何の音?」 「誰かの荷物が崩れてるんかな?にして長いな。…ネズミとかじゃないよね?」 「ムカデが這い回る音がこの音そっくり」 と、Mさんが言う。 「まさか、ラップ音とかじゃないよね。」 と、笑ってる内に音は消えた。 カタカムナウタヒを唱えた瞬間、うわん。 と、なり 目では文章を追っているのだが、 (あれ、私の声ではないような?) 祝詞の時は声色が変わるのだが、それとは違う声だ。 どこかで修正を。 と、思うのだが止まらない。 祝詞。というより般若心経の調子だ。 唱え終わると皆が戸惑っている。 「猫ちゃんの、声がいつもと違う声だった。」 「それにさ、女の人の声がしなかった?」 それは、Mさんとhさんが聞いていた。 他の人は聞いてないという。 Mさんは寝ていて顔にタオルを被せているのだが、長机の方を指差して 「てかさ、そこ、女の人がいない?」 悪いものではない。 だが、肯定してはいけないものだ。 畏れ多い。 触れてはいけない。 そんなものが、鎮座していたが 少し立つと消えていった。 家に帰ってから、カタカムナウタヒを唱えたが、あの時と同じ声音になるかとはなかった。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!