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その肆拾
私は、レイキヒーリングのグループ二つに所属している。
その一つでの出来事。
ヒーリングの勉強および、練習である。
二人一組になり、ヒーリングをしあうのである。
その日はtさんが、「カタカムナウタヒ」のコピーとクスリ絵を持って来ていて、クスリ絵を痛い部分に貼りカタカムナウタヒを唱えるというもの。
tさんが手本に歌ってくれた。
吟いに似ている調子だ。
「へー。これ、一番古いウタならば祝詞調で唱えたらどうなんだろう。」
祝詞にも読み方のコツというものがある。
それをカタカムナウタヒに当ててみようと思ったのだ。
「いいね、それ。」
本日の私の相手はMさんである。
さて、カタカムナウタヒをある程度頭に入れている時。
長机の方から、カサカサ音が聞こえる。
ビニール袋の荷物が崩れるような音だ。
隣でヒーリングをしているOさんが
「何の音?」
「誰かの荷物が崩れてるんかな?にして長いな。…ネズミとかじゃないよね?」
「ムカデが這い回る音がこの音そっくり」
と、Mさんが言う。
「まさか、ラップ音とかじゃないよね。」
と、笑ってる内に音は消えた。
カタカムナウタヒを唱えた瞬間、うわん。
と、なり
目では文章を追っているのだが、
(あれ、私の声ではないような?)
祝詞の時は声色が変わるのだが、それとは違う声だ。
どこかで修正を。
と、思うのだが止まらない。
祝詞。というより般若心経の調子だ。
唱え終わると皆が戸惑っている。
「猫ちゃんの、声がいつもと違う声だった。」
「それにさ、女の人の声がしなかった?」
それは、Mさんとhさんが聞いていた。
他の人は聞いてないという。
Mさんは寝ていて顔にタオルを被せているのだが、長机の方を指差して
「てかさ、そこ、女の人がいない?」
悪いものではない。
だが、肯定してはいけないものだ。
畏れ多い。
触れてはいけない。
そんなものが、鎮座していたが
少し立つと消えていった。
家に帰ってから、カタカムナウタヒを唱えたが、あの時と同じ声音になるかとはなかった。
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