月夜のアロエ

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 カウンターで飲んでいたら知らない男に声をかけられた。眼鏡をかけたブロンドの、私より5歳は若そうな細身の丸縁眼鏡の男だった。彼はマーヴィンと名乗った。マーヴィンは私を綺麗だ素敵だと褒めちぎった。外見はタイプだったし、ジョークも洗練されていて話も弾んだ。前の恋人のことがあって以来久しく男性と触れ合っていなかった私は、酒も加わりすっかり気分が良くなって、24時を過ぎるまで話し込んでいた。  その時には、彼とこのまま朝まで過ごしてもいいという気持ちになっていた。こんなに甘い感情を抱いたのは久しぶりだった。  5杯目のグラスが空になったとき、気持ちを見透かした様に彼は家に来ないかと尋ねた。迷わず私は頷いていた。
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