鈴虫が休符を重ねていた

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なんでかわからないけれど、世の中っていうのはさ、ずっと複雑に奇怪。 ごめんねは届かない。届けないから。外気はパリッと冷たくて。衰えゆく感性、壊れゆく理性。どうして、気がついてしまえた気になれたのだろう。待ってて、なんて言えない。手にとっては、もとのばしょに、その繰り返しを眺めてる。嘲笑すらしようのない、単純作業。蹴りあげたところで、なんだというのか。 あのね、あのね、猫ちゃんは、よく喋っていたの。おしゃべりな猫ちゃん。みけみけみけ。 そして、ラベンダーの香りがみちる。あなたは、まだそんなところでもがいているの?うずくまっていられるの? 沈黙。
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