理解不能 3

1/1
前へ
/18ページ
次へ

理解不能 3

 そうだ、次に合ったら、祐輔に聞いてみたいことがあったんだ。  他に教えを請えるような知り合いがいないので、下手に出るのはなんとなく嫌だったけれど、ちょっと可愛い子ぶってシナを作ってみせる。 「ねえ、祐輔、ちょっと教えて?古着屋さんで売ってるものは、誰かが使ってたお古でしょ。なのに、どうして新品のお洋服やバッグよりも高いの?どうして、やっさんはこれが大好きなの。だって、この革のジャケット、しわくちゃでヨレヨレだよー?」 「…説明面倒くせえよ。やっさんに聞けよ。すっげえ語ってくれっからさ」 「聞けないよ。あなたの大好きなもののこと、ちっとも理解出来ないです、良さがわからないです、って言ってるのと同じじゃん」 「本人のいぬ間に、めちゃくちゃ失礼爆発してんな」  そう、そうなの。いないの。  店主がDIYでこしらえた、木箱が三段重ねられただけのレジ、…いや、それだけならATフィールドはこんな全開には展開してない、うん。正しくは、ザカザカと釘が四方八方から飛び出している、危険極まりないレジ台には、あるべきヤマアラシ製造機の姿はない。  じゃあ、どこに?どこって聞いた?  どこってさあ。  ちくしょう!  
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加