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じゃんじゃん 2
店の中央にある、円柱形のショーケースに上半身を預けている私に、片手でドアをおし開けている格好のまま、祐輔がブルーの小さな箱を投げて寄越した。
…よ、っと両腕を伸ばしたのに、そいつはまんまとおでこをかすって、キャミソールと胸の間にすぽんと入り込む。
「バレー部だったのになあ!」
「俺は陸上」
「え、野球じゃなかったんだ!?」
「は?俺、ミサに野球の話なんかしたことあったっけ」
「じゃあ、エロの才能があるんだ」
「そんな褒めんな」
「すごいすごい、偉いねえ」
「じゃあこれ買って」
エスニック風な派手柄玄関マットの上から、喋る置物だった祐輔がやっと一歩踏み出すと、壁からウェスタンっぽいデザインのベルトを取って自分のウェストあたりにあてて見せる。
店主がいないから触り放題~!ってはしゃいでるんだろう。甘いな。私がチクるに決まってるじゃん。じゃんじゃんじゃん。
ちなみに、ハンガーラックの行き届かなかった空白部分の壁には、直接ぶっとい釘がこてんぱんにブッ刺されており、ベルトやショルダーバッグ、上着や帽子、小物類なんかが吊り下げられていた。
うん、柄が好きだなと、思うものはあるにはある。
あるけど、でもさ。
これと同じのが、109にも売っていたら、私はそっちを買うと思うんだ。
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