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彼女のリボン 5
伸ばしたロマンスグレーをきつく集めて、後頭部の高い位置で結っている。
そこにはいつも、とても高級そうなアンティークのリボンが飾られていて、デザインや生地感が似ていると思えても、全く同じものではなくて。
多分、365日×年齢くらいの勢いでコレクションしているのではないかな、と予想している私は、リボンなんか好きじゃない。
「こー言うの着ないの、ミサは」
「だって、わかんないんだもん」
「本当は、何かあったん?」
「どーして?」
「久しぶりだから」
「…なんか、店やめたら、暇だったし」
「プータロー?」
「休暇中!」
なんだかんだ言って、祐輔は私のことを気に入ってる。
なんか、飲んでたらたまたま話しかけられて、妹に似てるって言ってくれたのが、祐輔の部屋について行ったはじまりだった。
なんだ、たったの3つ上か、と知って、どんだけ年上とばかり付き合ってきたの、なんて聞かれて、年上とは寝てるだけ、とかくだらないこと答えたっけ。
だけど、祐輔は本当は真面目だから、その瞬間にきっと私を除外したんだよね、気がついてたよ。
それに引き換えやっさんは朗らかで陽気で、きっともうけっこうなお年ではあるのだろうけど、まるで子供みたいに無邪気だ。
大きなお尻が自慢で、尾てい骨まで届くポニーテールを揺らし、ウェスタンブーツのカカトを鳴らしてセクシーに歩く、身長178cmの安恵さん。
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