彼女のリボン 5

1/1
前へ
/18ページ
次へ

彼女のリボン 5

 伸ばしたロマンスグレーをきつく集めて、後頭部の高い位置で結っている。  そこにはいつも、とても高級そうなアンティークのリボンが飾られていて、デザインや生地感が似ていると思えても、全く同じものではなくて。  多分、365日×年齢くらいの勢いでコレクションしているのではないかな、と予想している私は、リボンなんか好きじゃない。 「こー言うの着ないの、ミサは」 「だって、わかんないんだもん」 「本当は、何かあったん?」 「どーして?」 「久しぶりだから」 「…なんか、店やめたら、暇だったし」 「プータロー?」 「休暇中!」  なんだかんだ言って、祐輔は私のことを気に入ってる。  なんか、飲んでたらたまたま話しかけられて、妹に似てるって言ってくれたのが、祐輔の部屋について行ったはじまりだった。  なんだ、たったの3つ上か、と知って、どんだけ年上とばかり付き合ってきたの、なんて聞かれて、年上とは寝てるだけ、とかくだらないこと答えたっけ。  だけど、祐輔は本当は真面目だから、その瞬間にきっと私を除外したんだよね、気がついてたよ。  それに引き換えやっさんは朗らかで陽気で、きっともうけっこうなお年ではあるのだろうけど、まるで子供みたいに無邪気だ。  大きなお尻が自慢で、尾てい骨まで届くポニーテールを揺らし、ウェスタンブーツのカカトを鳴らしてセクシーに歩く、身長178cmの安恵(やすえ)さん。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加