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魅力的な女性という甘い響きに私の喉が大きく鳴った。照度を落とした空間は朝霧くんをより大人に演出する。
新入社員の頃は沢山飲み、歌って騒いで盛り上げ役に徹していた彼だが、今やそんな飲み方をせずとも相手を楽しませる。証拠に私は歓迎会の話題を出され懐かしく、楽しい。
「ワンピースのお詫びと言って、後日クリーニング代やお菓子をくれた朝霧くんが気遣いの出来る人。あの頃は私達も若かったし、お酒の席であぁいう失敗はしても仕方ないのに開き直らず謝ってくれた。こちらこそ、ありがとう」
素直な気持ちを告げた。
あれから違う部署に配属され、食事やお酒を共にする機会は無かったので、朝霧くんがこんなオシャレなバーに通うようになっていたのかと年月を感じてしまう。
「当たり前だけど朝霧くん、大人っぽくなったね。大きな仕事も任されるようになって。それに比べ、私はまだまだ未熟だなぁ」
「町田が未熟? 後輩の指導を熱心にやっているって聞いてるぞ。面倒見が良い町田の下につく奴が羨ましい」
「あー、面倒見が良いというか、今日は彼氏とデートの約束あるのでって残業を押し付けられちゃうだけーーって、こんな話はやめよう!」
朝霧くんの聞き上手な姿勢に愚痴を引き出され、首を横に振る。
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