エピソード6~浮気疑惑??~

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エピソード6~浮気疑惑??~

 恒介くんが家業を継ぐことは知っていた。大学では建築学を専攻していたし、アルバイトでお父さんの仕事を手伝っていたのは知ってたし。  予想通り、大学を卒業後は実家の工務店を手伝ってお父さんの下で働いている。  そんな恒介君が現場の仕事帰りに私のアパートに泊りに来た日、洗濯物の作業着の中から名刺が出てきた。  見るからにいかがわしい匂いのする煌びやかなその名刺は女の子の気配が漂う。  その名前はおそらく源氏名だ。  それに。  このあいだ恒介君の実家に呼ばれて屋上でバーベキューをした時。  いつものように仲良しの彼らも来て久しぶりに話しに花が咲いて。  碧斗くんが気になる発言をしてた。 * 「あの子、絶対恒ちゃんの事好きだと思う。」 「そんなはずないだろ?」 「いや、絶対あの目はそうだって。 いつも恒ちゃんの事、キラキラした目で見てるよ?気づかなかった?」 「いや、気になったことないけど?」 「興味ないから気にならないだけなんじゃん?」 「へぇ。あの子って、あの?あの子?」 「え?大河もやっぱりそう思った?」 「まあね、このあいだオフィスまで送った時に、俺もちょっと見かけた。あの子だろ?まだ若い、ほら、何て言ったっけ。スラッとした背の高い綺麗な感じの。  でも、あの子はもう一人の少し小さめの可愛い顔した若いやつがしっかりガードしてる風に見えたけど?なんだっけ、爽君て言ってたかな」 「もしかして三角関係?」 「かもな。爽君が凄い目で恒介の事睨んでたもんな。あれ?火花散ってんなって思ったし」 「なんだよ三角関係って。俺をそこに加えるな」 「相変わらずモテるな、恒介は」 「やめろよ」  なんて。  バーベキューグリルを囲んでいつものメンバーでお酒を飲みながらそんな話をしてた。  あたしがそばにいるのに。そんな話を平気でするなんて。  聞こえないふりして汚れた紙皿や空き缶を片付けながら、耳はそっちが気になって仕方なかった。  誰?その若くてスラッとした綺麗な子って。  爽くんて人と三角関係って、なに?  その、爽くんとやらはどうやらその若くてスラッとした綺麗な子のことが好き。でもその若くて綺麗な子は恒介君の事が好き?  恒介くんは?もちろん私だよね?  なんだか不安になってきた。  姿の見えない敵に不安が募る…。 「来週も恒介がくるんだろ?」 「あぁ。打ち合わせな。行くと思う。親父は別件で忙しいから。」 「また見つめられちゃうな。穴があきそうなくらい。へへへ。」  大河くんがからかうように恒介君にそう言った。 「けどさ。あいつ、あいつも時々妙な目で見てるよな。香田さん。  あの目は絶対狙ってる目だろ。あいつのあの目は狙ってる目だから。  すぐ可愛い子見つけると手を出すって有名だよ。爽君と取り合うつもりかもな。  あいつに狙われたら怖いからね。  碧斗もされたもんな、中学の時トイレで!」 「やめて、大河。その話しはしないで。僕の黒歴史なんだから。あの過去は封印したんだからさぁ。僕の記憶から消し去ったんだから!」  碧斗君が顔を手で覆った。 「ごめん、碧斗。そうだったな。 そんなに怯えるなよ。 俺が今晩、たっぷり慰めてやる。そんな怖いことなんか忘れるくらいに。」  大河くんが碧斗くんのほほに手を当て、唇を指でなぞった。
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