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恒介くんと桜ちゃん…。
このあいだも嫌なタイミングでばったりあいつと顔を合わせてしまった。
一階の階段の下の少し奥まったところ。
背中を向けて立っていたのは恒介くんだ。最近じゃ、一緒にいすぎて、遠くからでもすぐわかる。
あいつはああやってしょっちゅう、女の子に呼び出しを食らう。それでしょっちゅう、告白されてる。
なぜなら、まだ彼女がいないから。
前にいたらしいけど、別れた話は誰かから前に聞いた。とにかくすごくモテるらしい。
あんなにモテるんだから、あんまりそうやって高望みして選り好みしてないで、手頃なところで手を打てよって、思う。
みててなんか、歯がゆいし。
なんてね。あたしなんかに言われたくないか。今日もまた、告白、断るんだろうか…。って。なにげに実は結果が気になったりして。
どんな子からだったら、オッケーするのかな。とか?
今日も相変わらず、よくモテるねぇ。
って。あれ?おい、待てよ?
向かい合ってうつむいてる女の子。
あれ?桜ちゃんじゃない?
うそ?そうなんだ…。
桜ちゃんも恒介狙いだったんだ。
あの時は碧斗くんかと思ってたけど。グループデートの時。あの時は碧斗君を狙ってる目をしてた。はず?
それであとから聞いた。結子に。
碧斗くんにあのあと告白して、ふられて、大河くんに慰めてもらってたけど、そのうち恒介君がよくなって、告白したんだって。
恒介くんにもあの日、階段下でふられて、その後、結子とはふられた同士慰め合ったらしい。
なにそれ…。ていうかさ、誰でもいいわけ?
ちょっとそんな桜ちゃんにカチンときた。
別に責めるつもりはないけどね。
今でもあたしたち、なにもなかったみたいに仲良く同じグループとして付き合ってるけれども。
やっぱり、桜ちゃんとは、うわべだけの付き合いだ。
恒介くんの好きな人ね…。
誰なんだろう。
胸がチクチク刺すように痛い。
気がつけばさっきからため息ばかり。
なんかさ。お弁当、作るの、やめようかな…。
別にさ。すねてるわけじゃないよ?
ほら。あれだよ。好きな子に悪いじゃん。って。一生懸命自分に言い訳してる…。
あれ?もしかして。あたし…。
好きなのかな。彼のこと…。
え?あたしの好きな人…?
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