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エピソード1~恋のゆくえ①夏の思い出~
中学二年の夏休み最後の日。
彼に告白されて初めてのキス。
それが私のファーストキス。それからいつも一緒に過ごすようになった。
彼はあんなにも真っ直ぐな人で、ちょっと強引で、強がりで。
だけど時々あたしの前では弱い。
負けず嫌いで堅物で曲がったことが大嫌い。いつもクールに澄ましてるくせに。
時々あたしの前では涙もろい。
あんなにいきがってるくせに。
時々さみしがり屋でわりとやきもち妬きなところも。
実はかわいいところもあったりして。
強くてかっこいいけどちょっとかわいいお茶目な年下の彼氏。
彼は真面目だから、告白はされたけどあたしたちの状況は何も特に変わることもなく半年が過ぎていった。
休みの度に二人でどこかにふらっと行ったりして。とても健全なお付き合い。
動物園に水族館、遊園地に映画にアイススケート、お出掛けはするけどちゃんと10時前には帰ってくる。
本当に、健全なお付き合い。
だからお泊まりなんかもないし、あんなことやこんなことも。まだ…。
あれからちょうど一年。プラトニックな純愛を今も続行中。
気がつけば私も中等部の三年生。
今年も暑い夏がやってきた。
楽しいはずのプールデート。
だけどそれは最悪な結末が待っていた。
私が真っ白なビキニを持っていったもんだから…。
それがことの元凶。
向こうに着いて更衣室の前で別れた。
「着替えたら出たところで待ち合わせね!」
そう言って。
支度を終えて、足洗い場の前の出入り口で彼を待っていたけど、彼が見当たらなかった。日向が暑かったから、日陰のベンチに移動した。
そこからでも男女別々の更衣室に続く出入り口がよく見えるから、彼が来ればすぐわかると思った。
ベンチで一人、腰かけて日焼け止めを塗っていたら、知らない男の子三人がよってきて声をかけてきた。
「ねぇ、一人?」
そんなわけないじゃん…。こんなとこ一人で来るかよ。
そう内心突っ込みながら。
「いえ、連れがいるの…。」
「ねぇ、少し僕たちとお話しない?」
いま話してんじゃん…。
また心のなかで突っ込む。
「なに?」
彼らがどや顔でこっちを見てくる。
自信満々な顔して。
自分たち、どんだけ?
「どこから来たの?年はいくつ?」
「近所だよ。15歳…。」
「うわ、マジか。見えないね。大人っぽい。セクシーなの着てるからか。」
お前たちが幼稚すぎるんだよ。
顔も雰囲気も、頭んなかも。恒介君とは大違い…。
その一丁前ないやらしい視線が胸元から足首までをなめ回してくる。
「君、可愛いね、ビキニいいじゃん…。似合ってる。背中とか日焼け止め塗ってあげようか?」
「いえ、結構です。自分でやるから。」
あたしが手に持ってた日焼け止めをそいつが取ろうとしたから固く握った。
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