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二人でご飯を食べてテレビを見ながらまったりした。
片付けはしなくていいなんておじさんは言ったけど、自分なりのやり方で片付けた。しまう場所がわからないものは適当に。
「ごめんな。菜緒さん。せっかくのクリスマスイブなのにさ。」
「いいの。全然。一緒に過ごせたし。
あ!!」
大事なものを忘れてた。プレゼントのお揃いのニット帽。
「プレゼント、置いてきちゃった。慌てて来たから。置いてきたのも忘れてた。今気がついたよ。」
「いいよ…。今日じゃなくたって。
また別の日に、ちゃんとやろう。俺たちのクリスマス。俺のも部屋にあるけど、足が痛くてとりに行けねぇや。階段、無理だわ。」
「また、別の日ね。じゃあ、そろそろあたし、帰ろっかな。」
「え?」
「え?」
「その…。もう帰るのか?」
「え…。だって…」
「いや、その…。もう…少し。あ…。リンゴあったろ。食いたいな。なんて…。」
「あ。じゃあ、皮むくね…。」
真っ赤な顔した恒介君の顔を見たらなんか私もりんごみたいに真っ赤になって顔が熱くなった。
リンゴを剥いて、お皿に入れて、恒介君の前に置いた。一緒に食べるとリンゴも凄くおいしい。
微笑みあいながらリンゴをかじってた恒介君が黙ってこっちをみた。
何か、言いたそう。
「ん?」
「いや…。」
「なに?」
「別に…」
「なによ。」
「だから、その…。」
「え?」
「俺、今日は一人じゃなんも出来なそうだな。とか。」
「え?」
「だから、この足だし?動けないじゃん?一人じゃなんも、着替えとか?その…」
「え…。」
「だから帰ってほしくないな。
なんて。このまま今日はいてくれたらいいのにな。なんて。」
「え?」
「じょ。ジョーダンだって。今のは忘れて。」
「え…っと。」
「だから、ジョーダンだってば。気にすんなよ。」
その時、スマホがなった。
母さんからだ…。
『どうした?様子は?』
「うん。病院から帰ってきて家にいるんだけどさ。足怪我して動けないの。なにも出来ないって言うから、ご飯を用意して食べさせてあげてる。」
『大将は?』
「おじさんはそのまま夜勤らしくて、現場に行った。」
『そうなんだ。誰もいないんじゃ、一人でなにかと大変だよね。ちゃんと介助してあげなさい。』
「う…ん…。かあさん、あのさ…。」
『なに?』
「今日一晩、付き添ってもいいかな。」
『え?!』
「だから、動けないって言うから。そばで一晩、付き添ってもいいかな。恒介君に…。」
『大将は知ってるの?あんたが家にいること。』
「うん、知ってる。ごはん食べさせてやってって頼まれたし…その…」
『ああ。じゃあ、しょうがないねぇ。そばにいてやんな。きっと心細いだろうし。でも、あんたたち、高校生同士なんだから間違えだけ、起こすんじゃないよ。その年で子供なんかこしらえないでね。』
「やだ、母さん、まだあたしたち、そんなんじゃないよ。足怪我して動けないんだよ?」
照れて全力で否定した。なんか耳まで熱い。
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