あなたがいたから ☆

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あなたがいたから ☆

 甘やかな抱擁と、触れ合う素肌の熱さ。  少し早まった鼓動と息遣い。  ローゼは、しばらくの間忘れていた感覚に酔いしれていた。  ユリアンの手と唇が、彼女の全身を(いと)おしむように触れていく。  身体中が「欲望」で満たされ、甘く切ない疼きが下腹の奥に湧き上がる。  乳房を優しく吸われながら、蜜壺から溢れた蜜をまとわせた指で花芯(クリトリス)を愛撫されたローゼは、何度も身体を震わせ、昇りつめた。 「……ユリアン様……」 「どうした?」  喘ぎながら言うローゼを、ユリアンは優しく見つめた。 「私も……ユリアン様を……気持ちよくさせてあげたい……です」  ローゼは、ゆっくりと身を起こし、恥ずかしそうに微笑んだ。 「いつも、ユリアン様に色々してもらってばかりですから……」 「お前は……そんなことを気にしなくていいのに」  ユリアンは、少し戸惑った様子を見せたが、ローゼの真剣な目に、おずおずと身体を横たえた。  ローゼが、彼の上に覆い被さる格好になる。 「いつもと、逆です……ね」 「そうだな」  少し照れたように微笑むユリアンの、淡く色づいた乳首を、ローゼは口に含んだ。  彼の舌遣いを思い出し、ローゼは懸命に舌と唇を使った。  同時に、既に屹立しているユリアンの逸物を、片手でそっと(しご)いてやる。  ユリアンは時折深い溜め息をついていたが、その呼吸は、次第に早まっていった。 「ん……くぅ……ッ」  小さく声を漏らした彼の手が、シーツを握りしめた。 「……待て、駄目だ」  ユリアンが身を起こしながら、ローゼの肩に手をかけた。 「だ、駄目……でした……か?」  男性と女性では感覚が異なるのだろうか――ローゼは不安になって、ユリアンの顔を見た。 「いや……危うく果ててしまうところだった。自分で加減できないのは困るな」  ユリアンは息を弾ませつつ、ローゼを(うつぶ)せにさせた。 「もう、我慢できない……挿入(いれ)るぞ」  ローゼは、蜜壺の入り口に熱く固いものが当てがわれたと思うと、大きな質量が体内に侵入してくるのを感じた。  ゆっくりとした抽送で弱い部分を的確に攻められ、浮遊感に似た快感を覚えたローゼは、思わず手近にあった枕を握りしめた。 「す、すごい……こんな……奥まで……」  泣きそうになりながら喘ぐローゼを、ユリアンが背後から抱きしめた。 「……この傷……まだ痛むのか?」  ユリアンは、ローゼの右肩に残る火傷の(あと)に、指先で、そっと触れた。 「もう……痛くはありません……気になりますか?」 「いや……だが、お前が、ここまでするとは……」 「私は、ただ『運命』に流されるままでは、いたくないと……どんなことをしても、ユリアン様のところに帰りたかったから……ん……ッ」  ユリアンに、皮膚が薄く敏感になっている傷痕へ口づけされ、ローゼは声を漏らした。 「でも、ユリアン様に出会う前だったら……きっと、そんな風に考えることもありませんでした」  ローゼが言うと、ユリアンは再び彼女を抱きしめた。 「今度こそ、俺は、お前を離したりしない……」 「私も……ずっと、ユリアン様のお傍にいます……」  力強い律動を送り込まれ、ローゼは身悶えしながら言った。  その後、ローゼとユリアンは文字通り一晩中求め合い、愛し合った。  二人が眠りに就いたのは、窓掛け(カーテン)の隙間から明け方の光が差し込む頃だった。
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