月が綺麗ですね……手が届かないから綺麗なの

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「なんですか、なんですか、なんですかぁ!?」  璃々が興奮気味に上げた高い声に僕はドキッとし、急いで名前を隠したが、ばっちり見られてしまった。 「この野々島さんって人、横河先輩の好きな人なんですかぁぁ」 「そうなの。去年卒業した先輩」 「おまっ……勝手に説明するなよ!!」  ペラペラ話す友奈に文句を言うも、無視をされ、そのまま女子トークが盛り上がってしまう。 「ええっ!? 年上好きなんだぁ、横河先輩」 「しかもね。野々島先輩、美人よ」 「おおっ。美人好き」 「成績優秀でさ。彼氏もいたんじゃないかな」 「わぉ! 完璧女子」 「叶わぬ恋に横河君、健気だったわよー」 「横河先輩、かわいそぉ」  人の恋心を玩具(おもちゃ)にするな!!  女子2人の(僕の)恋バナを止めようと何度も横槍を入れるが、テンションの高い2人に全く相手にされず、見事撃沈。僕は恥ずかしさのあまり、全身が蒸発しそうなほどの熱を帯びながら、ただ座っていた。  女子高生の恋バナに割り込める男がいるのか? いるのか? いや、いない! ただ、この状況は針のむしろだ! 今すぐ逃げたい。
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