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数日後。大夢の目の前にはすっかり元通りの卵型をしたタイムマシンがあった。「お前には大事なものを教わったからな」と修理をしてくれた中川が照れ臭そうに言う。
優しさと感謝を知ったあの日以来、彼は日に日に人間らしさを獲得していった。今ではもう出会った頃とは別人のようで、その変化に胸がじんわり温かくなる。
「しかし本当に行くのか? 時空は断絶したままだから、元の時代に戻れる保証など」
「なに。その時はまた、辿り着いた先で出会った人に助けてもらうさ」
「助けてくれるといいが」
「大丈夫。こっちが優しく接すれば、きっと優しさで返してくれる。それが人間だから」
中川がそうかと頷くのを確認し、タイムマシンのドアに手をかける。
「大夢」と後ろから呼び止められた。
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