運命の行方

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その場に居合わせた他の児童達は、修二の言葉で皆、静まり返ってしまう。その時、修二の傍らでいた拓磨が、そっと呟いた。 「‥‥‥そんな事言うのはよそうよ。今日は思いっ切り楽しもう?」 付き添いの職員も、修二に話した。 「そうよ、修二君。‥‥‥今日は、皆の好きなモノ買って上げるから、機嫌直そう?」 「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 職員からも宥められて、ようやく修二の機嫌も治まるのだった。 そして、その日の夕方‥‥‥。 その日は、未季にとっては、施設を訪れてから初めてのパーティーであった。年に一度のクリスマス・パーティー。‥‥‥若葉の里児童園も又、施設の裏にある庭先や部屋の中の内装を皆で飾り付けをし、クリスマス気分も満載であった。何時ものダイニング・ルームでは、職員が調理をして準備した色々な料理が盛り付けられて、所狭しとテーブル一杯に並べられている。 「‥‥‥Merry Christmas!」 施設の職員の乾杯の挨拶で、児童達は各々はしゃぎながら、それぞれのテーブルに用意された料理を食べ始めていた。‥‥‥のだが、未季だけが、俯き、口を閉ざしたままで呆然としていた。それに気付いた職員が、そっと彼女に話し掛ける。 「‥‥‥どうしたの、未季ちゃん。ひょっとして、何処か具合でも悪いのかな?」 未季は、目前に置かれてある、盛り付けられたフライドチキンを見詰めながら、涙目でポツリと呟くのだった。 「‥‥‥何だか、ニワトリさんが可哀想。」 「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 その場に居合わせた一同は、思わず、未季の言葉を聞いて、静まり返ってしまう。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 未季は、気立ての優しい少女であった。修二は他の児童と喧嘩になる事が度々あったのだけれど、未季は、何時も拓磨と一緒に喧嘩の仲裁をする事が日常茶飯事だった。誰よりも争い事を好まず、誰にでも優しく振る舞う少女。その様な彼女に対して、修二と拓磨は、淡い恋心にも似た想いを抱いていた。 その様な一年が、何度と無く続いていた。 そんな矢先の日の出来事である‥‥‥。
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