運命の行方

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それは、新しい年を迎え、誰もが春の訪れを待ち侘びていた頃の事。 未季が、夜な夜な如何にも不可思議な夢を見続ける様になったのである。‥‥‥彼女が寝ていると、何処からともなく誰かの声が聞こえて来るらしい。未季は、思わず耳を傾けて窺っていると、 「‥‥‥未季ちゃん。‥‥未季ちゃん。」 どうやら、声の主は、未季の名前を呼び続けている様子。 「‥‥‥誰?‥‥‥アナタは一体、何なの?ワタシに何の用なの!?」 皆が寝静まっている中、未季は、独り起き出して、声の主を探し始めた。まるで、誰かに導かれているかの様に、彼女は、施設の建物の裏手へと歩いて行った。その時の事である。未季が施設の建物の外へと出た瞬間、唐突に地響きが起こり、辺り一面、揺れ始めたのである。彼女は、思わず施設の建物の方へと振り返ると、忽ち、若葉の里児童園の施設の建物は崩れて行くのであった。 来る日も来る日も、未季の見る夢の中で、その様な有り様が続いていた‥‥‥。 (‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。) 未季は、不安に駆られた感情を抑え切れず、施設の職員のひとりに夢の中の世界で起きた出来事の話を伝えようとした。 「‥‥‥皆、此処にいるといけないわ。これは、これから起こる予知夢なのかも知れないし、神様からのメッセージなのかも?」 しかし、その職員は、未季の話を真剣に訊こうとはしなかった。 「‥‥‥未季ちゃん、きっと、怖い夢でも見たのネェ。でも、大丈夫よ。そんな事を心配しなくても。。。」 それでも、未季は、不安な気持ちを抑えられずに、何度と無く、話し続けた。 その内に、未季に対して、冷やかそうとする児童が現れた。
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