運命の行方

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「‥‥‥何時までも、正月気分で浮かれてんじゃねえよ!‥‥‥お前の母ちゃん、デ・ベ・ソォォ〜〜〜!!!」 「‥‥‥ワ、ワタシ、‥‥‥そんなんじゃ無いもん。。。」 唐突に、未季の表情は、暗然となってしまっていた。更に、数人の児童達が未季の周りを取り囲んで、彼女の事をなじり始めた。その光景を傍らで見詰めていた修二が、その児童達の面前に立ちはだかる。 「未季の事を馬鹿にするナァ〜!!」 忽ち、修二と幾人かの児童達との諍いが始まろうとしていた。‥‥‥その時である。大地を揺るがす轟音と共に、辺り一面が揺れ始めたかと思うと、施設の建物の至る場所に亀裂が走り、有無も言わさず、修二達の頭上にある天井が崩れ始めた。 辛くも、修二・拓磨・未季の三人は、難を逃れたものの、他の児童と職員は、崩れ落ちた瓦礫の下敷きになってしまっていた。偶然、その瓦礫の隙間から職員のひとりの姿が見え隠れしている事に気付いた修二。彼は、拓磨と未季のふたりと一緒に力を合わせて、その職員を救い出そうとしたのだけれど。 「‥‥‥ワタシ‥‥達の、事はいいから、アナタ達だけでも、‥‥‥逃げてぇ!‥‥後の事は全部、‥‥‥園長‥‥先生に、‥‥‥頼るのヨォォォ!!!」 額からは鮮血が滴り落ち、息絶え絶えになりながらも、その職員は、今にも消え掛かる意識の中で、修二達にそう告げた。その頃の修二の歳にして13歳。拓磨と未季は12歳。まだ幼い年の頃の彼等に、その時、目の前の誰かの為に何が出来たのだろう? 何も考える事すら出来ずにいた修二・拓磨・未季の三人は、何事も成す術も無く、泣きじゃくりながら、只管にその場から走り去ろうとする。その様な彼等の姿を背中越しに見詰めていた施設の職員も又、成す術も無く、やがては力尽きてしまうのだった。 (‥‥‥修二君。拓磨君。‥‥‥それに、未季ちゃん。‥‥‥アナタ達だけでも、強く生きてぇ!!!)
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