迷える子羊たち

1/3
前へ
/53ページ
次へ

迷える子羊たち

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 被災した瓦礫の街並みで作業をしているボランティア・クルーの姿をぼんやりと遠目で見詰めながら、未季がふと呟いた。 「‥‥‥神様なんているのかしら?」 「‥‥‥エッ!?」 未季の傍らで呆然と座り込んでいた修二と拓磨は、ふと、彼女の方へ視線を向けた。 「‥‥‥ワタシ達は、親に捨てられたけど、人間は、神様に捨てられたのかもネ。」 「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 修二と拓磨は、未季の言葉に言い返す事も出来ず、思わず、口を閉ざしたままで俯いているばかりであった。 ボランティア・クルーが瓦礫の撤去作業をしている中で、それでも、辺りには残されたままの、割れて粉々になってしまった皿の数々やティーカップ等の食器の欠片。人形やぬいぐるみ等の子供の玩具。その他、書籍やCDの類が泥塗れになって、そこら中に散らばっている。その様な有り様を眺めながら、修二がボソリと呟いてみせた。 「‥‥‥なぁ。‥‥‥何だか、凄く虚しく思わないか?」 「‥‥‥‥‥‥?」 「‥‥‥皆、アッと言う間なんだよ。俺達が生まれて来る前から、誰かが頑張って作ったモノや建てた家なんかが、アッと言う間に消えてしまう。‥‥‥人間が、色んな人間が今迄にして来た事って、俺達にとって、何の意味があるのかナァ?」 「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 遠くの方では、ボランティア・クルーに因る瓦礫の街並みの撤去作業が、尚更の如く、続けられていた。 「‥‥‥そろそろ、休憩にしよう!」 リーダーらしきひとりの青年が、周囲のスタッフに聞こえるかの様な大きな声で話す。スタッフの面々は、首元に掛けたタオルで滲み出た汗を拭きながら、落ち着いた表情に戻り、ホッと溜息を吐く。 その様な光景を目の当たりにした修二が、怪訝そうに息を溢した。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加