その時、僕たちは‥‥

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その時、僕たちは‥‥

震災の被害を受け、瓦礫の町並みへと変わり果ててしまった道程を、修二・拓磨・未季の3人は歩き続けていた。 やがて、疲れ果ててしまった修二達は、道路の端の辺りに転がっている大きな岩の上に腰を下ろして、暫しの間、疲れた身体を休ませようとするのだった。 「‥‥‥ラッシュ、何処にもいないわネ。今頃、何処で何してるんだろ。。。」 未季が、修二と拓磨に向かって、ボソリと小声で呟いた。 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 修二と拓磨のふたりは、視線を落としたままで呆然としている。その内に、拓磨が、不安そうな表情を浮かべながら話した。 「‥‥‥ひょっとして、ラッシュの身に何か起こったのカナ?‥‥‥ひょっとしたら、ラッシュは、ラッシュってもう。。。」 「余計な事を考えるのは止めろよ!まだ、何か起きたかどうかも分からないのに。」 拓磨の言葉を遮る様にして、修二が、釈然とした物言いをする。しかしながら、その様な修二の面持ちですら、僅かながらに陰りがチラホラと見え隠れしていた。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 ふと、未季が、視線を上げると、ひとりの初老の女が目の前をゆるりゆるりと通り過ぎて行く姿が見える。未だ肌寒さが残っている季節であるにも拘らず、靴も履かずに裸足のままでその女は歩いていた‥‥‥。 「‥‥‥あのオバさん。‥‥‥何だか、少しヘンかも。。。」 唐突に、未季が、ポツリと呟いた。その傍らで彼女の言葉を聞いていた修二が、不可思議な表情を浮かべながら尋ねた。 「‥‥‥何が、どう変なんだよ?」 未季は、神妙な面持ちで答えた。 「‥‥‥だから、その、何となく。」 「‥‥‥‥‥‥‥???」
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